生産管理

 

np管理図とは?役割や仕組み・作り方と例題

np管理図とは?役割や仕組み・作り方と例題

製造業の品質管理において、管理図の重要性は極めて高いです。中でもnp管理図は、サンプルサイズが一定の場合に不適合品数が可視化できるので、品質のばらつきが判断しやすくなります。

np管理図を導入すると、製造工程における異常が早期発見できるため顧客満足度の向上に寄与するでしょう。

そこで本記事ではnp管理図の役割や他の管理図との違いについて解説します。np管理図の作り方と例題もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

np管理図とは

np管理図とは?役割や仕組み・作り方と例題

np管理図とは、一定のサンプルデータにおける不適合品数をグラフ表示した図のことです。

製造業の中でも特に毎ロット同じ数を製造する場合に活用する品質管理ツールです。

ただし、np管理図を有効に運用するには、十分な検査回数とサンプルサイズが必要です。一般的には20〜25のロットが目安とされます。

管理図の意味と仕組み

管理図は、製品の品質を管理・分析するツールの総称で、「中央線(CL)」「上方管理限界線(UCL)」「下方管理限界線(LCL)」の3つで構成されます。

安定した品質管理下において、製造品の性質は正規分布するとされています。

一般的に、管理図では中心線から標準偏差の3倍(±3σ)の範囲で上下に限界線を設定します(3σ(スリーシグマ)法という)。正規分布ではデータの99.7%が±3σ内に含まれ、そこから外れる確率は約0.3%です。

つまり1,000回の製造工程で不適合品は約3個であることを意味します。

確率は非常に低いため、不適合品が発生した場合は早期段階における発見が可能です。

製造業では不適合品が発生すると顧客からの信頼が低下するだけでなく、コストにも無駄が生じます。放置すれば企業にとって致命傷にもなりかねないでしょう。

そのため不適合品が確認された場合は、一刻も早く原因を究明すると同時に適切な改善策を講じなければなりません。

競争力強化と収益率の向上を実現するには高度な品質管理が不可欠ですが、その意味で管理図の果たす役割は非常に大きいといえるでしょう。

np管理図の役割

np管理図は、サンプルデータが一定の場合に不適合品数を監視するので、製造工程の安定性が評価できます

例えば、サンプルデータが10,000個の場合、製造工程が安定していればnp管理図のグラフは中央値あたりをほぼ直線に近い形で波打ちます。

ところが異常が発生すると著しく折れ線が乱れたり、標準偏差の3倍にあたる±30個の限界線あたりにプロットが連続して現れたりします。

その場合は、原材料の変質、設備パーツの劣化や設備メンテナンスの不備、従業員による作業ミスといった異常原因の特定と改善を早急に行う必要があります。

管理図の種類

np管理図以外の管理図について解説します。

管理図は、「計量値」向けと「計数値」向けの2種類に分かれます。

計量値とは、時間や重さ、長さのように測って得られる連続して変化するデータで、計数値とは、不適合品や事故件数などのように数えて得られる非連続的データです。

いずれの管理図を採用するかは、品質管理の目的によって決まります。

計量値の管理図

計量値の管理図には、主に利用されるものとして「X-R管理図」と「X−S管理図」があります。

X-R管理図

X-R管理図は、硬度や電流、感度、抗張力などの異常を防止する目的で、平均値にズレがないかを確かめるX図と、ばらつきの範囲を表すR図から構成されます。

X図は平均値を水平の直線で表示。R図は全データを折れ線グラフで繋ぐ形です。

そして上方管理限界線と下方管理限界線を水平に表示します。

X図は群ごとの測定値の平均値のため、X-R管理図の中心にあたる目標値に近いほど良いと評価します。R図は郡ごとの範囲の最大値と最小値の差がばらつき(=R)を示し、この値が小さいほど品質管理の精度が高いことを意味します。

仮に複数のデータが管理限界線から外れた異常値を示したり、平均値がセンターに表示された目標値から大幅にずれていたりすると、製造工程に異常があると予測できます。

見出し5:X−S管理図

X-S管理図は、先ほどの平均値を示すX図と、群ごとの測定値の標準偏差をグラフ化するS図から構成されます。

前述のR図がばらつきの範囲を対象にしていましたが、データ数が多くなると単に範囲だけを調べたところでばらつきが判別しにくくなります。そこで実際のばらつきの度合いを標準偏差という、より正確なデータで示しているのがS図の特徴です。

X-S管理図の見た目はX-R管理図と同じですが、折れ線グラフのプロットは各サンプルの標準偏差になります。

計数値の管理図

次に計数値の管理図をご紹介します。

P管理図

サンプルデータが一定である場合に各ロットごとに不良品率を計算し、管理限界線とともにグラフ表示したのがP管理図です。

組立不良の管理などに使用されます。

C管理図

C管理図は、面積や長さ、量などの範囲が一定の場合に、欠点数をカウントしてグラフ表示します。

一定のサイズのプリント基板のキズ、鉄板のキズ、織物の織りむらなどの監視に適しています。

U管理図

U管理図は、面積や長さ、量などの範囲が一定でない(変化する可能性がある)場合に、欠点率を監視するツールです。

C管理図とは異なり、群の範囲が決まっていないケースで利用されます。

np管理図の作り方と例題

np管理図とは?役割や仕組み・作り方と例題

np管理図の作り方と次際の使い方を簡単な例題を用いて解説します。

サンプルデータを準備する

np管理図を作るには、少なくとも20回以上の検査によるサンプルデータが必要です。

中央線(np)は、全サンプル数を全ロット数で割って算出します。

上方管理限界線(UCL)と下方管理限界線(LCL)を求める

np管理図には、上方管理限界線(UCL)と下方管理限界線(LCL)を設定する必要があります。

各値は、以下の方法で求められます。

上方管理限界(UCL)

np + 3√np(1-p)

下方管理限界(LCL)

np + 3√np(1-p)

np管理図の例題

製品Aの不良品数を管理するためにnp管理図を作ってみましょう。

1ロットは100個とし、全部で20回の検査を行ったとします。

ロットナンバー

不良品数

1

10

2

8

3

12

4

7

5

13

6

5

7

15

8

9

9

11

10

13

11

7

12

8

13

12

14

10

15

6

16

14

17

9

18

11

19

12

20

8

合計

200

中央線は、不適合品の総和を全ロット数で割って求めます。

つまり中央線(CL)は、200÷20=10となります。

上方管理限界線(UCL)と下方管理限界線(LCL)は以下の通りになります。

上方管理限界線=np+3√np(1-p)=10+3√10(1-0.1)=19

下方管理限界線=np-3√np(1-p)=10-3√10(1-0.1)=1

したがって以下のようなnp管理図ができます。

※水平の赤字線が上方管理限界線と下方管理限界線になります。

中央値は10です。

 

np管理図で不適合品数を管理しよう

np管理図とは?役割や仕組み・作り方と例題

製造業にとって不可欠な品質管理ツールの一つである管理図について解説しました。

中でもnp管理図はサンプル数が一定の場合に、不適合品数が可視化できるので顧客の要求水準を満たすのに有効です。

管理図を使って品質管理を実施するのは、コストの無駄を抑え収益性を高める目的もあります。

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