生産管理 基礎知識

 

在庫管理とは?目的・効率化の方法、棚卸との違いや現品管理の基本を解説

在庫管理

在庫の数量や品質、所在などを管理する在庫管理は企業にとって非常に重要ですが、在庫管理の効率化について課題を抱えている企業も少なくありません。在庫管理を効率化し、適正在庫を維持するためには、在庫管理の基本を理解しておくことが大切です。

今回は、在庫管理の基本である、棚卸資産のマネジメントと現品管理の方法を中心に、在庫管理の基礎知識から効率化のポイント、業務改善に役立つシステムをご紹介します。

在庫管理とは

在庫管理とは、企業の資産である商品や資材などを、適正な数量と品質で管理する活動のことです。管理の対象となる「在庫」が指す内容は業界によって異なりますが、製造業においては、原材料・部品・仕掛品・完成品といった、製造プロセスで取り扱うモノすべてが該当します。会計上の用語では、在庫は棚卸資産と表現されます。

在庫管理を行う目的は、顧客の需要に対し、過不足なく製品を供給できるよう在庫を調整すること、そして、在庫のムダを削減して利益最大化を実現することです。具体的には、在庫の出入庫や返品対応、実地棚卸といった業務の中で、在庫の所在や数量の変動、状態などを正確に把握して、管理・評価をしていきます。

在庫管理の目的

在庫管理は企業経営において非常に重要な業務の一つです。適切な在庫管理を実施すると、業務効率の向上やコスト削減といった直接的なメリットだけでなく、企業の持続的な成長を支えるさまざまな効果が期待できます

ここでは、在庫管理を適切に行うことで得られる4つの主要なメリットを、具体的な事例を交えながら解説します。

生産性向上のため

在庫管理を適切に実施すると、在庫の保管場所や数量を正確に把握できます。在庫を探す手間や時間を大幅に削減可能です。

例えば、従来は在庫の現物確認に時間がかかっていた作業が、適切な在庫管理によって効率化され、その分の時間を他の業務に充てられます。その結果、1人あたりの処理できる業務量が増加し、全体的な生産性の向上につながります。

管理コストを削減するため

在庫管理の実施により、過剰在庫によって発生するさまざまなコストを削減できます。具体的には以下のコストです。

  • 毎月発生する製品数量の棚卸作業にかかる人件費
  • 製品の保管場所を入れ替えるために使用するフォークリフトなどの設備費
  • 保管場所の環境維持のための空調費

以上のコストは、過剰に在庫を抱えれば抱えるほど余計にかかってしまいます。適切な在庫管理により、必要最低限の在庫数を維持すると、これらの管理コストを最小限に抑えられます。

キャッシュフローを改善するため

在庫は貸借対照表(B/S)の資産として計上され、損益計算書(P/L)では売上原価を通じて利益に影響します。しかし、在庫と利益の関係は単純ではありません。キャッシュフローの観点から見ると、在庫の購入時には現金が流出し、在庫が売れるまでは現金化されないため、この期間のキャッシュフローはマイナスです。

また、売上と利益への影響を考えると、在庫が多いのは、それだけ売上に転換できていない商品があることを意味します。実際の収益性は在庫回転率と密接に関連しており、過剰在庫は保管コストも発生させます。

営業活動によるキャッシュフロー = 当期純利益 + 減価償却費 – 在庫の増加額

キャッシュフロー計算書では上記のかたちで表されます。

在庫の増加はキャッシュフローを直接的に減少させる要因です。

したがって、健全な経営のためには適正な在庫水準の維持、在庫回転率の向上、そしてキャッシュフローを重視した管理が重要です。

需要予測の精度をあげるため

適切な在庫管理システムを導入すると、過去の販売履歴や在庫の動きを正確に把握・分析できます

例えば、毎月約200個の注文が入る商品があった場合、その商品の季節変動や市場トレンドなども含めた詳細なデータを蓄積・活用できます。より正確に需要予測でき、必要な在庫数を適切なタイミングで確保可能です。

精度の高い需要予測は、以下の具体的なメリットをもたらします。

  • 適切な発注タイミングと数量の決定により、過剰在庫や在庫切れを防止
  • 顧客からの注文に対する迅速な納品対応が可能
  • 仕入れ先との効率的な取引関係の構築
  • 倉庫スペースの効率的な活用
  • 市場の変化や特需にも柔軟に対応できる体制の確立

結果として、顧客満足度の向上と競争力の強化につながり、企業の持続的な成長を支える重要な要素となります。

在庫管理の4原則とは

在庫管理の4原則とは、効率的かつ効果的な在庫管理を実現するための基本的な4つのポイントです。企業規模や業種を問わず、すべての在庫管理における現場での重要な指針です。

  • 在庫所在がすぐわかる
  • 在庫の数量がすぐわかる
  • 先入れ先出しができる
  • アクションのポイントがわかる

これら4原則を適切に実践すると、在庫切れによる販売機会の損失を防ぎ、過剰な在庫を持つことなく適正な在庫量を維持できます。また、商品の鮮度管理も適切に行えるようになり、廃棄ロスの削減にもつながります。

結果的に、企業の業務効率は大きく向上し、健全な財務状態の維持が可能です。4原則に基づいた在庫管理は、顧客満足度の向上や取引先との良好な関係を構築できます。

在庫管理の方法

在庫管理の方法として一般的なのが、エクセルを使用した管理とシステムによる管理の2つです。企業の規模や業務内容によって、それぞれにメリット・デメリットがありますので、自社に適した方法の選択が重要です。

以下では、各管理方法の特徴と、どのような企業に向いているのかを詳しく解説します。

エクセルで管理する

エクセルによる管理は、商品名や品番、入出庫数、処理日などを記入する在庫管理表を作成し運用する方法です。エクセルテンプレートや関数を利用することで、基本的な在庫管理ができます。

導入・運用コストがほとんどかからない点が最大のメリットですが、入力ミスや重複入力のリスクがあり、リアルタイムでの在庫把握も困難です。また、他の在庫管理ツールとのデータ連携が難しいという課題もあります。

そのため、エクセルでの管理は主に零細企業や中小企業など、本格的なシステム導入が必要ない規模の企業に適しています。

システムで管理する

在庫管理システムは、製品の在庫情報や入出庫情報を一元管理できるツールです。多くのシステムは棚卸機能や在庫分析機能を備えており、作業効率の向上やヒューマンエラーの軽減が期待できます。特に近年主流となっているクラウド型システムでは、リアルタイムでの在庫状況把握が可能です。

ただし、導入には相応のコストがかかり、システムを使いこなすまでに時間を要するというデメリットがあります。

また、システムの一部として提供される在庫管理アプリは、大企業での利用にも適していますが、単体のアプリは基本的な機能のみを提供するため、中大規模企業での活用には適していません。

在庫管理を効率化する方法

在庫管理をさらに効率化するために知っておきたい方法は、以下の通りです。

先入れ先出しの徹底

先入れ先出しとは、先に仕入れた在庫から順に消費・出荷していくことです。原材料から完成品まで、古いモノから先に払出しされるため、在庫が出荷できない状態まで劣化することを防げます。

ムダな廃棄が起こりにくくなり、またこのルールで統一されていると在庫量や仕入原価の変動を把握する作業負荷も軽くなります

ロケーション管理を徹底する

ロケーション管理とは、倉庫内のエリアを区分して在庫の所在や保管場所を管理することです。一般に、ロケーション管理は以下の3種類に分類でき、状況に応じて最適な方法を選定することが大切です。

  • 固定ロケーション
    固定ロケーションとは、在庫の保管場所を固定する管理方法です。同一カテゴリの在庫が同じ区画に管理されるため、倉庫内に在庫が点在することがありません。在庫を保管するエリアや棚、列、連、段がわかれば誰でも在庫状況を特定できるため、業務の平準化が期待できます。また、在庫の保管場所が定められていることで担当者が記憶・確認しやすく、出入庫の対応もスピーディになるため、おすすめです

  • フリーロケーション
    フリーロケーションとは、保管場所を定めず、倉庫の空いている棚に随時在庫を保管する管理方法です。入荷する製品が頻繁に変わる場合、固定ロケーションでは保管場所のルール変更も頻繁に行う必要がありますが、フリーロケーションではその必要がなく、空きスペースも有効活用することができます。

  • ダブルトランザクション
    ダブルトランザクションとは、倉庫内で固定ロケーションを行うエリアとフリーロケーションを組み合わせる管理方法です。固定ロケーションとフリーロケーションのメリットを享受することができますが、固定ロケーションへの補充作業が必要となるため、作業工数が増えるというデメリットがあります。

ABC分析を行う

ABC分析とは、在庫管理において売上高や出荷量、コストといった評価軸を定め、在庫に優先順位(A・B・C)を付けて管理する方法です。 ABC分析の考え方として基本的には、一定期間内の製品ごとの売上高を評価基準とします。

売上高が高い(総売上に対する売上構成比が高い)製品から順に重要度をランク付けし、重要度の高い製品に対して優先的にリソースを割り当てます。在庫管理にかけるリソースを最適化することで、業務のムダ削減を目指せます。

バーコードやタグ、在庫管理システムの活用

在庫管理を手入力や紙ベースで行っている場合、バーコードやタグ、在庫管理システムの導入によって作業を大幅に効率化できます。出入庫による在庫数量の変動や、出荷スケジュールを電子化できる機能があり、在庫管理の業務における平準化やコスト削減が期待できます。

在庫管理と棚卸の違い

在庫管理において、棚卸は非常に重要な業務の一つです。しかし、実際の在庫数と帳簿上の数値に差異が生じるケースはめずらしくありません。

そこで、棚卸の基本的な内容と効率的な実施方法について解説した上で、さらに踏み込んで、企業経営における棚卸資産の重要性と現品管理の必要性について詳しく説明します。

棚卸とは

棚卸とは、月末や年末などの決算日に倉庫内の全在庫数量をチェックし、帳簿やシステム上の理論在庫数との差異がないかを確認する作業です。通常業務を一時停止して作業員総出で実施する場合が多く、多大な時間と労力を必要とする重要な業務です。

棚卸の主な目的は以下の通りです。

  • 企業の正確な利益確認(売上に対する商品原価の計算)
  • 現在の在庫状況の把握
  • 販売期限のチェックと今後の販売戦略の検討

棚卸を効率的に行うための主な方法には以下の4つがあります。

    • 業務マニュアルの作成
  • エクセルでの在庫管理
  • バーコード・QRコードによる管理
  • 在庫管理システムの活用

それぞれの方法には特徴があり、企業の規模や業務内容に応じて最適な手法を選択することが重要です。正確な棚卸を定期的に実施すれば、適切な在庫管理が可能となり、業務効率の向上とコスト削減を実現できます。

棚卸資産と現品管理とは?

棚卸資産とは、企業が一時的に保管している在庫を金額として算出・評価したもので、会計処理に用いられる指標の一つです。

先述の通り、完成品だけではなく、作りかけの仕掛品や原材料といった在庫すべてが、この棚卸資産にも該当します。棚卸資産の値を算出することで、企業の在庫やキャッシュフローの状態を評価する、さまざまな指標を求めることができます

例えば、在庫回転期間がその一例です。製造業において、在庫回転期間とは、製品を製造し出荷するまでの期間を表す指標です。在庫回転期間が短いほど、在庫が出荷されるまでの期間が短い、つまり一定期間により多くの在庫が出荷されている(キャッシュフローが良い)ことになります。

▼在庫回転期間の計算方法
在庫回転期間(年)= 棚卸資産合計/売上高(年間)

また、会計上重要な棚卸資産を正確に把握するためには、在庫管理業務の一つである現品管理(現物管理)を正しく行う必要があります。

現品管理とは、在庫について「何が」・「どこに」・「どのような状態で」・「どれくらい」あるのかをデータで管理することです。現品管理が正しい手法で正確に行われていれば、余剰在庫や滞留在庫の発生を防ぐことができたり、生産計画通りに生産から出荷が行われているか、という進捗状況をズレなく確認できたりします。そして、棚卸資産の評価額やそれに関連する指標にも誤差が生じにくくなります。

現品管理ができていないとどうなる

在庫管理では、現品管理が正しく行われ、棚卸資産を把握し、正しい在庫回転期間などを知ることが理想的ですが、管理が複雑化し問題を抱えている企業も多く存在します。

現品管理業務が複雑化し、うまくいかないことで生じる問題の一つが、ヒューマンエラーの多発です。

実在庫の確認作業でミスが起こりやすい環境では、「伝票を紛失した」「2人で在庫を数えていたのでデータが二重入力になり実在庫数と合わない」「在庫管理におけるルールの認知がベテランと新人スタッフで異なる」などの問題が頻発しやすくなります。

そうすると、得られるデータも不正確となりやすいため、毎回の数値チェックや修正にかかる時間・工数が大幅に増えてしまいます。

また、現品管理がうまくいっていないと、販売機会を失うことにもつながります。

在庫の数量や所在を把握しておらず、「顧客が欲しい製品がどこにあるかわからない」「人気商品の原材料の発注が遅れ、売上のチャンスを逃してしまった」という状況が発生してしまいます。

こうした状況を未然に防ぐために、棚卸資産と現品管理をマネジメントする上での注意点を押さえておくことが重要です。

在庫管理の基本!現品管理をする上での注意点

棚卸資産の把握と現品管理の手順を整え、機会損失を起こさないようにするためには、在庫管理の基本「5S」「管理体制」の考え方を理解し、注意すべきポイントを押さえることが大切です。

以下では、現品管理をうまく実施する際の注意点を説明します。

5Sを押さえて現品管理をする

5Sとは、製造業において業務効率化を促す5つの活動「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の頭文字Sを取った言葉です。5Sを行うことで、作業効率を向上させ、業務改善を行うことが目的とされています。
5Sの基本的な考え方は、以下のようにまとめられます。

  • 整理
    整理のされていない環境では、「倉庫にある不要なオフィス機材などが積み重ねられてしまう」、「運転在庫が不要在庫に変化し放置されてしまう」といった状況が発生しやすくなります。そのため、不要なモノは整理して処分するなどの対応が必要です。

  • 整頓
    在庫がすぐに取り出せる、また、個数が把握しやすいよう置き場所が整頓されている作業環境が望ましいです。在庫にラベリングなどを行い、データと実在庫数の把握をしやすくする必要があります。

  • 清掃
    倉庫での保管状態が悪いことで、在庫の劣化が進みやすくなります。品質が劣化した在庫は処分・破棄されていくため、ムダなコスト増や販売機会の損失につながります。これらを防ぐために、定期的に清掃や点検を実施することが大切です。

  • 清潔
    定期的に清掃するだけでなく、清潔な状態を保てるように作業環境を整えることが大切です。整理・整頓・清掃の循環をうまく回し、清潔な状態を保つ取り組みを実践する必要があります。


  • 整理・整頓・清掃は、管理する人・実践する人がそれを意識し継続することが重要です。スタッフへの5Sならびに在庫管理に対する教育を実施し、管理への意識を定着させることが求められます。

管理しやすい環境を整える

5Sを徹底するのは難しいものです。どんなに経験が長いスタッフがいたとしても、ヒューマンエラーは起こってしまいます。それは「ヒト」のせいではなく、「環境」が生んでいるエラーの場合もあるため、5Sを管理しやすい環境を社内で整備していくことが重要です。

効果的な取り組みとしては、以下の4つが挙げられます。

  • 出入庫管理の共通認識
    出入庫の方法をベテランと新人スタッフの間で共有することで、業務の平準化やムダな工数削減が期待できます。

  • ルールの簡素化
    可能な限りシンプルでわかりやすい業務ルールを設けることで、認識の齟齬を防ぎ、ルール順守による仕組化を促進します。

  • 棚卸サイクルの短縮
    棚卸を短いサイクルで実施することで、正確な棚卸資産を把握しやすくなります。

  • 保管場所の分類
    在庫を保管する際に仕切りを作る、サイズの大から小へと順番に分類するなど、モノを保管する環境を分類することで誰でもわかりやすく出入庫作業を行えます。

こうした取り組みを通じて、現品管理で5Sを徹底・ヒューマンエラーを対策していくことが、適切な在庫管理につながります。

ここまでは、在庫管理の概要やそのメリット、実施する際の注意点を解説してきました。次章からは在庫管理の効率化をより促進するための方法をご紹介します。

在庫管理システム導入のメリット

在庫管理業務の効率化には、在庫管理システムの導入が有効的です。本章では、在庫管理システムの導入によって得られるメリットを3つご紹介します。

①余剰在庫が少なくなる

在庫管理システムを導入することで、在庫が現在何個あるのか、何個出荷予定なのかなどの在庫情報をより正確に、データで把握することができます。すると、過去の正しいデータを基に需要予測を立てられるため、適正量の資材発注や過不足の誤差を少なく抑えた生産につながり、余剰在庫を削減できます。

②ヒューマンエラーを削減できる

手作業で行っていた業務を自動化することが可能なため、ヒューマンエラーを削減する効果も期待できます。例えば、現品管理業務の中で発生していた伝票の手書き/手入力をバーコード読込などの機能で自動化できると、記入・入力にともなうヒューマンエラーは発生しません。特に、大量に資材を受け入れるときは、手早く作業を済ませることができます。

③リアルタイムで情報共有ができる

資材の手配状況や納期管理、現在庫と在庫予測といった情報は案件ごとに日々動いています。そうした情報を在庫管理システムでリアルタイムに共有することができれば、問題の未然防止にもつながります。特に個別設計生産を行う企業では部門間の情報を一元管理・共有することで、生産性の向上や確認、意思決定のスピード向上につながります。

 

在庫管理システム導入のデメリット

在庫管理システムの導入は、業務効率化や在庫の適正化など多くのメリットをもたらしますが、一方で考慮すべき課題もあります。特に重要なのが、導入時のコストと社内体制の整備に関する以下の2つのデメリットです。

①導入にコストがかかる

システムの種類は豊富にありますが、どのシステムを選択しても相応のコストが発生します。高価なものでは数百万円規模の投資が必要となるケースもあり、導入前に十分な予算の確保が必要です。

ただし、在庫管理の適正化によって「ムダな在庫の排除」や「生産性向上による利益率の改善」といったメリットが得られれば、長期的には投資効果が期待できます。そのため、導入前に具体的な効果を試算し、投資対効果の十分な検討が重要です。

②社内体制を整備する必要がある

在庫管理システムはITツールです。そのため、電子機器の操作に不慣れな従業員や、新しいシステムへの対応に抵抗がある従業員にとっては、使いこなすまでに時間がかかる可能性があります。

システムの能力を最大限に発揮するためには、指定された正しい使用方法を実行する必要があり、そのための社内体制の整備が不可欠です。場合によっては、システムを使いこなせる新たな人材の採用や、既存の従業員への教育期間の設定などの対応が必要となります。

在庫管理システムの効果を最大化する方法

有益な導入効果が期待できる在庫管理システムですが、実際に導入しても適切に運用することができなければ大きな効果は望めません。本章では、導入効果の最大化を図るため必要な3つの方法について解説します。

導入目的の明確化と共有の徹底

導入効果を得るためには、まず、導入目的を明確にして社内で共有することが重要です

従業員にとっては新システムの導入によって新たに覚えてなければならないルールやタスクが増えることになります。

そのため、導入前に「なぜ在庫管理システムを導入するのか」「導入によってどのような効果が望めるのか」を明確化して共有し、従業員の理解を得た上で導入することが大切です。 情報共有の際に「余剰在庫がなくなることでキャッシュフローが良くなる」といった会社目線のメリットだけでなく、「仕事を効率化して従業員の負担を軽減する」といった従業員にとってもメリットのある導入目的を明示することが重要です

従業員教育を行う

システムの導入効果を最大化するためには、運用のルールを定めてそれを全員が守ることが求められます

システムによって在庫情報などが自動管理されるようになりますが、共通の運用ルールを決め、それが守られることではじめて全社的に業務が平準化・効率化されます。

企業は、ルールが順守されるように従業員にルールを周知し教育を行うことが大切です。加えて、ルールは従業員からのフィードバックなどを取り入れて、定期的に修正して更新すると良いでしょう。

連携やカスタマイズ性の高いシステムを選定する

在庫管理の導入する際は、在庫管理以外の業務システムとの連携や、自社に合わせて機能をカスタマイズできるものを選定することで、より導入効果を得やすくなります

在庫管理システムにはオンプレミス型とクラウド型があり、企業や現場の環境やニーズに適したシステムを選択すると良いでしょう。

  • オンプレミス型
    自社でサーバを設置し、システムベンダーから購入したソフトウェアをインストールして運用を行うのがオンプレミス型です。

<特徴>
・カスタマイズの自由度が高く、大規模環境への導入に適している
・サーバ、ネットワーク機器、ソフト、ライセンスなどを購入してネットワーク環境を整備する必要があるため、初期費用が高額になりやすく導入にも時間がかかる
・自社内でクローズするため、運用管理業務や独自のセキュリティ体制が必要

  • クラウド型
    インターネット経由で外部リソースを月額もしくは年額で利用してシステム構築を行うのが、クラウド型です。

<特徴>
・初期コストが無料もしくは低額で、アカウント登録後すぐに利用可能
・運用管理業務が発生しないため、本来の業務に注力できる
・外出先などでのモバイル利用も可能

正しい現品管理・棚卸資産のマネジメントを行いつつ、連携度の高いシステムで在庫を適正化しよう!

適正在庫を維持し、企業のキャッシュフロー改善や利益率の向上を図るために、在庫管理は非常に重要です。企業によってモノを管理する場所や方法も違いますが、基本的な5Sや管理体制を押さえ、必要に応じて自社の環境にマッチするシステムも活用しながら正しい在庫管理を行う必要があります。

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田幸 義則
この記事を監修した人
入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。
DAIKO XTECH株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
田幸 義則
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