製造業において、不良やトラブルの発生を予防するには保全管理が欠かせません。
「保全管理とは何か」「具体的にどのように進めるべきか」疑問に思う方は、保全管理の概要と効果的な施策を確認しておきましょう。
本記事では、保全管理の必要性や種類を詳しく解説します。保全管理の課題やおすすめの保全管理システムもあわせて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
製造業における保全管理とは?
保全管理とは、製造現場の設備や機械を正常な状態で稼働させるために、点検・整備・修理・更新などを計画的に管理する取り組みを指します。
製造業では、設備の停止がそのまま生産停止や納期遅延、品質低下につながるため、設備トラブルを未然に防ぐ「保全管理」が重要な役割を担っているのです。
具体的には、設備の稼働状況や劣化状態を把握し、適切なタイミングでメンテナンスを実施することで、以下のような効果が期待できます。
- 突発的な故障の防止
- 設備寿命の延長
- 生産性の安定化
近年では、紙やExcelによる管理だけでなく、保全管理システムを活用してデータを一元管理する企業も増えています。
保全管理が重要視されている理由
製造業において保全管理が重要視される背景には、以下のような構造的な課題が関係しています。
- 設備の高度化・複雑化
- 高齢化による属人化
- 品質不良・事故防止
まず、技術の進歩により設備の高度化・複雑化が進み、ひとたび故障が起きると復旧までに時間とコストがかかってしまいます。突発的な故障は生産計画を乱し、機会損失やお客さま満足度の低下を招く原因になるので要注意です。
また、人手不足や熟練技術者の高齢化も保全管理が重視されている要因のひとつです。これまでベテランの経験や勘に頼っていた設備保全が難しくなり、誰でも一定水準の保全業務を行える仕組みづくりが求められています。
さらに、設備トラブルは品質不良や安全事故につながるリスクもあります。計画的な保全管理により、故障リスクを低減し、安定した品質と安全な作業環境の維持が必要です。
保全管理の3つの種類
保全は以下の3種類に分けられます。
- 事後保全
- 予防保全
- 予知保全
以下では、それぞれの違いについて解説します。
事後保全
事後保全とは、設備が故障してから修理・対応を行う保全方法です。日常点検やデータ管理の負担が少ないため、導入コストを抑えやすいメリットがあります。しかし、突発的な設備停止による生産ロスや修理費用の増大といったリスクが高く、重要設備には不向きです。
予防保全
予防保全は、部品の使用回数や稼働期間などを考慮し、あらかじめ決めたスケジュールで「定期的に行う」保全業務を指します。
部品が故障してから交換するのではなく、事前に定めたタイミングで定期的な点検を行い、部品の状態を確認・交換するため、設備の安定稼働につながります。
車でいえば、カーディーラーの定期点検やガソリンスタンドでの日常点検がこれにあたります。
予知保全
予知保全は、機械や設備の状態を検査し、「故障や不具合の兆候が出た段階で行う」保全業務を指します。
予防保全では防ぐことが難しい「偶発的な故障」や、環境変化による劣化や故障に対しても、予知保全であれば柔軟に対応することが可能です。
また、まだ十分に使える部品を交換してしまうといった、過剰なコストの発生も抑制できます。
このように、一見すると予防保全と同じように見えますが、両者は「保全を行うタイミング」が決定的に異なります。
したがって、予知保全は、「保全のタイミング」を「時間」ではなく「状態」で判断することにより、設備の安全確保とメンテナンスコストの最適化を両立できる合理的な手法と言えます。
保守との違い
「保全」と「保守」は、どちらの言葉も機械や設備を点検・修理する意味合いを持ちますが、以下のような明確な違いがあります。
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用語 |
意味合い |
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保全 |
設備や機械が故障しないよう事前に点検を行うこと。 定期的な点検や部品交換など |
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保守 |
故障した設備や機械を元の状態に戻すこと。 修理・交換対応など |
どちらも長期間にわたり設備を安全に使用し、安定した生産を行ううえで欠かせません。保全管理を行う際は、保守との違いを理解したうえで、適切な施策を実行しましょう。
以下の記事で保守の詳細について解説しています。ぜひご覧ください。
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製造業の保全管理での課題
製造業における保全管理は、生産設備の安定稼働に欠かせない一方で、以下のような課題を抱えています。
- 人手不足
- 煩雑な予備品管理
保全管理の課題を確認して、どのように解消するべきか、打開策を検討しましょう。
人手不足
製造業全体で人手不足が深刻化する中、保全管理を担う技術者の不足も課題です。
設備保全は専門性が高く、経験や知識が求められる業務であるため、短期間での人材育成は困難です。
さらに、熟練技術者の高齢化や退職が進んでおり、点検方法や故障対応のノウハウが特定の担当者に依存する属人化も起きています。属人化が進むと、担当者不在時に適切な保全が行えず、設備トラブルのリスクが高まるだけでなく、保全管理の継続性にも悪影響を及ぼします。
人手不足が深刻化する製造現場において、誰でも一定水準の保全業務を行えるよう、情報の可視化や標準化を実現する保全管理の仕組みづくりが求められています。
煩雑な予備品管理
保全管理における課題のひとつが、予備品・交換部品の管理が煩雑化しやすいことです。
設備ごとに多種多様な部品を扱い、各部品によって使用頻度も異なるため、在庫状況を正確に把握できていないケースも少なくありません。
その結果、以下のような問題が起こり、適切に保全管理ができなくなるのです。
- 必要な予備品がなく、修理対応が遅れる
- 在庫切れを恐れて過剰に保管し、コストが増加する
- 部品の保管場所がわからず、探す時間が発生する
予備品を紙やExcelで管理している場合、在庫情報の更新漏れや記録ミスが発生しやすく、保全管理全体の精度が低下します。
予備品管理を効率化し、必要なときに必要な部品を使える体制を整えるためには、適切な保全管理が必要です。
製造業における保全管理でシステムを導入するメリット
製造業の保全管理では、人手不足や属人化、業務の煩雑化などの課題を抱えるケースも少なくありません。
このような課題を解決するために、保全管理システムの導入が効果的です。
保全管理システムを導入すれば、次のようなメリットが期待できます。
- 人手不足を解消できる
- 属人化を解消できる
- 業務の効率化ができる
- 人為的ミスを低減できる
- 突発停止を防げる
人手不足を解消できる
保全管理システムを導入すれば、点検計画の作成や作業指示、進捗管理を自動化・効率化できます。システム導入により、限られた人員でも計画的に保全業務を進められ、人手不足の影響を抑えることが可能です。
また、点検時期のアラートや作業内容の明確化によって、担当者の判断負荷が減り、少人数体制でも安定した保全管理を実現できます。
属人化を解消できる
保全管理システムを使えば、設備情報・保全履歴・点検手順をデータとして蓄積・共有できるため、属人化の解消につながります。
誰が担当しても同じ情報を基に保全作業を行えるようになり、担当者の異動や退職によるリスクを軽減できます。
業務の効率化ができる
保全管理システムでは、設備台帳や点検記録、予備品情報などを一元管理できます。紙やExcelでの転記作業、情報検索にかかっていた時間を削減でき、保全業務全体の効率化が可能です。
さらに、保全状況を可視化し、現場と管理者の情報共有がスムーズになり、無駄な確認作業や二度手間の削減にもつながります。
人為的ミスを低減できる
手作業や属人的な管理では、記録漏れや入力ミス、点検忘れといった人為的ミスが発生しやすいですが、保全管理システムを導入すれば、点検スケジュールの自動管理や入力項目の標準化により、こうしたミスを抑制できます。
保全管理の精度が向上し、設備トラブルを未然に防げる点も保全管理システムを導入するメリットのひとつです。
突発停止を防げる
保全管理システムを活用して、点検履歴や故障データを蓄積・分析すれば、設備の異常傾向を把握できます。
設備の異常傾向を把握できれば、適切なタイミングでメンテナンスを実施できるため、突発的な設備停止のリスクを低減できます。
IoTを活用した設備保全
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を活用した設備保全は、データに基づいた予測的な保全を実現できます。IoTを活用した設備保全により、点検や修理を行うだけではなく、設備の状態をリアルタイムで把握し、効率的に保守計画を立てる仕組みへと進化しているのです。
IoTを活用した設備保全では、設備や機械にセンサーを取り付け、振動・温度・圧力・消費電力などの稼働データを常時収集します。収集したデータはクラウドや分析システムに送られ、設備の異常兆候を検知したり、状態を可視化したりできるのです。
リアルタイムデータに基づく保全計画は、従来の経験や勘に頼る保全よりも精度が高く、無駄な作業や部品交換の削減にもつながります。
rBOMで最適な保守・保全を
DAIKO XTECHが提供するハイブリッド販売・生産管理システム「rBOM」の保守オプションでは、保守・保全履歴のデータベース化を実現できます。
補修部品の管理も行えるため、故障しやすい部品の改善点を発見し、製品開発のヒントとすることができます。保守の受注から見積、管理表の作成、保守部品表の管理、作業登録など、保守に関する業務を可視化することも可能です。
また、IoTとAIを組み合わせることで、お客さまに収めた製品の稼働状況の見える化を実現します。音、熱、振動を計測し、AIが多角的に分析することで適切な保全の実現をサポートします。
rBOMの詳細および資料のダウンロードについては以下より行えますので、
適切な保守・保全を行いたい方、
自社製品の保守オプションの提供をご検討されている方はぜひご利用ください。

- この記事を監修した人
- 入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。 - DAIKO XTECH株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部 - 田幸 義則










