生産管理

 

工程スケジュールのムリ・ムダをどう解決する?
個別受注生産に適した管理方法

工程スケジュール

工程スケジュールにムリ・ムダが発生する要因とは?

そもそも、個別受注生産で工程スケジュールにムリ・ムダが発生してしまう要因はなんでしょうか?
見込み生産ができる工場と比べて、個別受注生産は受注してから顧客ごとにカスタマイズした製品を作らなければならないため、先々のスケジュールまで管理し難いのが現状です。
ムリ・ムダが発生する要因となっているのは、主に次の4つです。

受注するまでスケジュールを組めない

在庫を持たず、受注してから生産を開始する個別受注生産では、見込み生産をおこなえず、また、これから入ってくる案件も予測しづらいのが現状です。
受注が決まるまで設計・製造に着手できないため、顧客や営業部門から短納期を要望されると、現場はバタついてしまい、各部署に負担がかかってしまいます。

急な仕様変更が伝達されない

顧客から急な仕様変更が、営業部門から伝達されずに漏れ・遅れが発生すると、図面を作成する「設計部門」も、図面をもとに製造を行う「製造部門」も、部品表をもとに必要資材を調達する「資材部門」も、各部門で二度手間やタイムロス・資材ロスなどの”ムダ”が発生してしまい、納期に影響を与えかねません。

工程・使用する部品・設備が異なる

オーダーメイドで顧客ごとに製品仕様が異なるため、加工内容・工程手順、使用する部品や機器・設備などが毎回変化します。そのため、工程スケジュールを立てたり、必要な部品・機器・設備などを確保したりすることに、どうしても手間・時間が掛かります。

標準化ができていない

製造工程や製造する部品、設計図面を毎回一から制作し直している状態では、なかなかリードタイムを短縮することができません。
個別受注生産でも、ある程度は標準化によってスケジュールのムリを減らすことができます。
これには、「過去にも似たような製品を作成したな」というケースがあった際、すぐに図面や情報を引き出して活用できる環境が必要不可欠です。

納期を非現実的なものにしない部門間の体制づくり

これらの問題を1つずつ解決することで、工程スケジュールのムリ・ムダを減らせます。
「うちは個別受注生産だから、繰り返し生産と違ってムリ・ムダが出るのは仕方ない…」

と考えている方は、ぜひ、次の4つに着眼して工程スケジュールのムリ・ムダを削減してください。

1.受注見込みが高い案件は、早めに共有する

個別受注生産の場合でも、ある程度受注見込みが高い案件があれば、先に営業部門から情報共有を受けることで今後のスケジュールを管理しやすくなります。
先々の予定をあらかじめ見込んでおき、必要なリソース・機材・設備の確保などができるよう、営業部門から見込み案件を定期的に共有する社内体制を整備することが大切です。

2.顧客の要望/仕様変更はすぐに共有する

個別受注生産では急な仕様変更はどうしても起こってしまいます。個別受注生産では、案件ごとにカスタマイズ製品を一から設計し直すため、量産型の工場よりも図面が変更になるケースが多いのです。もしも、始めに試作した製品の製造品質が悪ければ、設計から見直す場合がありますし、営業部門を通じて顧客からの追加要望が伝えられることもあります。

そこで大切なのは、仕様変更があった場合に、営業部門・設計部門・製造部門・資材部門がすぐさまリアルタイムに情報共有できる仕組みを作ることです。情報の伝達漏れ・遅れがないよう、ITを活用することが有効な手段です。

3.他部門への進捗確認/状況確認によるロスを無くす

「営業から製造進捗について問合せがきた」
「製造部門から、資材部門になんども納品時期・個数等の確認がくる」

こうした他部門との連絡・確認は、必要なことではあるものの、お互いの業務の妨げになってしまいます。
それぞれの部門の進捗・状況といった情報がITによってリアルタイムに見える化されていれば、こうしたムダを省くことが可能です。

4.「図面中心」ではなく「部品表中心」の製造に切り替える

多くの製造業では、設計図面(CAD)を中心とした生産管理体制が一般的です。

どのような部品・材料が必要で、どれだけの数量を要するのか、という製品構成から部品表や工程スケジュールを作成していることでしょう。
しかし、個別受注生産の場合は、急な仕様変更で図面を修正したり、部品の手配をやり直したりする必要が出てくるので、図面を中心とした製造は多くの混乱を招いてしまいます。
「部品表中心」のモノづくり体制を構築すれば、部門間の連携を強化し、スケジュールの短納期化を実現できます。

部品表中心のモノづくりについて詳細は下記のページをご覧ください。

【個別受注型製造業必読】 短納期と標準化を実現させる生産管理のコツ
関連記事:https://www.daiko-xtech.co.jp/daiko-plus/production-control/order-made-production-lead-time-reduction/#i

リアルタイムに情報共有。生産管理システム導入のすすめ

このように、個別受注生産の製造業で工程スケジュールにおけるムリ・ムダを無くすためには、部門間を跨いだリアルタイムな情報共有と、部品表を中心としたモノづくり体制へのシフトが重要であることがお分かりかと思います。
これを実現するためには、いまやIT技術の活用=生産管理システムの活用が欠かせません。

しかし、多くの個別受注生産では、その特性から生産管理システムがそぐわず失敗したり導入を断念したりしているケースも多いようです。

そのような方は、個別受注生産に特化した、「部品表中心のモノづくり」 を実現できる生産管理システムを導入することをおすすめします。

リアルタイムな進捗・原価把握を実現する
生産管理システム「rBOM」

詳しくは下記からご覧いただけます
この記事を読んだ方に
おすすめのお役立ち資料はこちら↓
納期遵守を実現する仕組みとは

納期遅れの原因は部門間の連携・共有にあり!

納期遵守を実現する仕組みとは

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田幸 義則
この記事を監修した人
入社後15年間、長野支店にてシステムエンジニアとして活動。
運送業、倉庫業のお客さまを中心に担当し、業務システム構築からインフラ環境構築等の経験を積む。
その後、製造業のお客さまも担当し、rBOM導入のプロジェクトにも関わるように。
16年目に現部門に異動し、rBOM全国支援の担当者となる。
現在はrBOMだけではなく、製造業全般のソリューション提案を手掛けている。
料理が趣味、これからお菓子作りにも挑戦しようか迷っている。
DAIKO XTECH株式会社
ビジネスクエスト本部
インダストリー推進部
田幸 義則
【事例で学ぶDX】BOMを統合して経営を強化、コストダウンへ

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