
在庫管理において、欠品や過剰在庫を防ぐために重要となるのが「発注点」の設定です。発注点とは、在庫が一定数量を下回った際に発注を行う基準のことです。
発注点を適切に管理できていないと、必要な商品や部品が不足して販売機会を逃したり、原料の在庫不足によって製造工程に影響が出てしまうリスクや、反対に必要以上の在庫を抱えて保管コストが増えたりするリスクがあります。特に、発注業務を担当者の経験や勘に頼っている場合、発注タイミングにばらつきが出やすく、在庫管理が属人化しやすくなります。
発注点を理解するには、安全在庫や適正在庫との違い、定量発注方式・定期発注方式などの在庫管理方式、計算式に必要な平均出荷量や調達期間についても押さえておくことが大切です。
本記事では、発注点の基本的な意味から、安全在庫との違いや発注点の計算方法まで詳しく解説します。
目次
発注点とは
発注点とは、在庫が一定数量を下回ったときに発注を行うための基準値です。簡単にいえば、「在庫が何個になったら発注するか」を決めるためのラインを指します。
例えば、ある部品の発注点を50個に設定している場合、在庫数が50個を下回ったタイミングで発注を行います。これにより、担当者がその都度「そろそろ発注するべきか?」と迷う必要がなくなり、一定のルールに基づいて在庫を補充できるようになるのです。
発注点を適切に設定する目的は、欠品を防ぎながら、過剰在庫も抑えることです。発注点が低すぎると、発注してから納品されるまでに在庫が足りなくなり、欠品が発生する可能性があります。反対に、発注点を高く設定しすぎると、必要以上に早いタイミングで発注することになり、在庫を持ちすぎてしまうリスクがあります。
つまり、発注点は在庫管理の効率と安定性を左右する重要な基準です。発注点を適切に管理することで、発注業務の標準化や属人化の防止にもつながります。
安全在庫とは
安全在庫とは、需要の増加や納期の遅れなどに備えて、最低限確保しておく在庫のことです。
通常の出荷量や使用量を基に在庫を管理していても、実際の需要は日々変動します。また、仕入先の都合や物流トラブルによって、予定より納品が遅れる場合もあります。
このような不測の事態に備えるために確保しておく在庫が、安全在庫です。
例えば、普段は1日10個しか出荷しない商品でも、急に注文が増えて1日20個出荷する可能性もあります。また、通常3日で納品される商品が、仕入先の事情で5日かかる場合もあります。
安全在庫を持っていなければ、このような需要変動や納期遅延が発生した際に、欠品リスクが高まるのです。
ただし、安全在庫が多ければ良いわけではありません。安全在庫を多く設定しすぎると、保管スペースや管理コストが増え、在庫の劣化や廃棄リスクも高まります。一方で、安全在庫が少なすぎると、少しの需要増加や納期遅延でも欠品が発生しやすくなります。
適正在庫とは
適正在庫とは、欠品と過剰在庫の双方を防ぎ、事業運営にとってもっとも望ましい状態を保てる在庫量のことです。安全在庫が「欠品を防ぐために最低限確保する在庫」であるのに対し、適正在庫はより広い概念です。
適正在庫を考える際には、販売量や出荷量、調達期間、保管コスト、需要変動、商品の特性などを総合的に判断します。在庫が少なすぎると欠品が発生し、販売機会の損失やお客さま満足度の低下につながります。
一方で、在庫が多すぎると保管コストが増え、資金繰りを圧迫する原因になるため注意が必要です。
例えば、売れ筋商品であれば、一定の在庫を確保しておくことで販売機会を逃しにくくなります。一方、需要が少ない商品や季節性の高い商品は、過剰に仕入れると在庫が残りやすくなります。このように、適正在庫は商品ごとに異なり、事業環境や需要の変化に応じて見直す必要があるのです。
発注点と安全在庫・適正在庫の関係性
発注点、安全在庫、適正在庫は、いずれも在庫管理に関わる重要な考え方です。ただし、それぞれ意味や役割が異なります。
| 用語 | 意味 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 発注点 | 発注を行う基準となる在庫数量 | 発注タイミングを明確にする |
| 安全在庫 | 欠品を防ぐために最低限確保する在庫 | 需要変動や納期遅延に備える |
| 適正在庫 | 欠品と過剰在庫を防ぐ適切な在庫量 | 在庫効率や利益を最適化する |
発注点は「いつ発注するか」を決める基準です。安全在庫は、想定外の需要増加や納期遅延に備えるための在庫です。適正在庫は、事業全体にとって過不足のない望ましい在庫量を指します。
発注点を計算する際には、安全在庫を含めて考えます。発注してから納品されるまでの期間に必要な在庫量だけでなく、予備として持っておく安全在庫も加えることで、欠品リスクを抑えられます。
一方、適正在庫は安全在庫を考慮した正しい発注点を設定することで、適正在庫を維持することができるという、より広い在庫管理の考え方です。発注点を適切に設定し、安全在庫を過不足なく確保することで、適正在庫を維持しやすくなります。
発注点管理の目的を明確にするために、この3つの違いを理解しておきましょう。
発注点管理の必要性
発注点管理が必要な理由は、在庫の不足や過剰を防ぎ、発注業務を安定させるためです。
発注点を設定していない場合、担当者の経験や勘に頼って発注することになりがちです。その結果、発注が遅れて欠品が発生したり、反対に不安から早めに発注しすぎて過剰在庫を抱えたりする可能性があります。
欠品が発生すると、商品を販売できず、販売機会を逃してしまいます。製造業であれば、必要な部品や資材が不足し、生産ラインが止まるおそれもあります。お客さまへの納品遅延が発生すれば、お客さま満足度や企業の信頼にも影響するため、適切な発注点管理が欠かせません。
一方、過剰在庫は保管スペースを圧迫し、管理コストや棚卸作業の負担を増やします。食品や化粧品など使用期限がある商品では、廃棄ロスにつながる場合もあります。また、在庫として資金が固定されるため、キャッシュフローの悪化を招くケースもあり、注意が必要です。
発注点管理を行えば、在庫が一定数量を下回ったタイミングで発注できるため、欠品と過剰在庫のバランスを取りやすくなります。また、発注基準を明確にすることで、担当者ごとの判断のばらつきを防ぎ、発注業務の属人化を排除できます。
在庫量管理の方式

発注点管理を正しく理解するには、在庫管理方式の違いも押さえておく必要があります。在庫管理の主な方式は、次のとおりです。
| 比較項目 | 定量発注方式 | 定期発注方式 |
|---|---|---|
| 発注タイミング | 在庫が発注点を下回ったとき | 毎週・毎月など一定間隔 |
| 発注量 | 一定 | 在庫状況に応じて変動 |
| 向いている在庫品 | 需要が安定した低単価品・消耗品 | 需要変動がある高単価品・季節商品 |
| メリット | 発注基準が明確で管理しやすい | 需要変動に対応しやすい |
| デメリット | 急な需要変動に弱い | 毎回の計算や判断に手間がかかる |
どちらの方式が適しているかは、在庫品の特性や需要の安定性、管理体制によって異なります。それぞれのメリット・デメリット、適した在庫品の例を確認して、自社に適した在庫量管理の方式を採用しましょう。
定量発注方式
定量発注方式とは、在庫があらかじめ設定した発注点を下回ったタイミングで、一定数量を発注する在庫管理方式です。
定量発注方式は、在庫状況に応じて発注タイミングを決定する一方、発注数量は事前設定された一定量とする点が特徴です。例えば、在庫が50個を下回ったら毎回100個発注する、といった方法です。
発注点を下回ったら一定量を発注するため、発注業務をルール化しやすく、担当者の判断に依存しにくくなります。
定量発注方式のメリットは、管理しやすいことです。発注点と発注量をあらかじめ設定しておけば、担当者は在庫数を確認し、基準を下回ったタイミングで発注できます。発注量も一定なので、発注処理を標準化しやすく、自動発注システムとも相性が良い方式です。
また、需要が安定している商品や部品であれば、欠品と過剰在庫の両方を効率よく防ぐことができます。消耗品、事務用品、汎用部品、定番商品など、一定のペースで出荷・使用される在庫品に向いています。
一方で、需要変動が大きい商品では、発注点や発注量が実態に合わなくなるデメリットもあるため要注意です。急に需要が増えた場合、通常の発注点では発注が間に合わず、欠品が発生する可能性があります。反対に、需要が減少した場合は、発注量が多すぎて過剰在庫になるリスクがあるのです。
また、定量発注方式では、在庫数を継続的に把握する必要があります。実在庫と帳簿上の在庫がずれていると、発注点を下回っていることに気づけなかったり、不要な発注をしてしまったりする可能性があります。
そのため、定量発注方式を運用する場合は、正確な在庫管理と定期的な発注点の見直しが欠かせません。
定期発注方式
定期発注方式とは、週1回、月1回など、あらかじめ決めたタイミングで在庫量を確認し、必要な数量を発注する在庫管理方式です。
定量発注方式では、在庫が発注点を下回ったタイミングで発注するのに対し、定期発注方式では、発注するタイミングが一定です。その代わり、発注量は在庫状況や需要予測に応じて毎回変わります。
例えば、毎週月曜日に在庫を確認し、次回の発注日までに必要な数量を計算して発注する方法が定期発注方式です。発注タイミングを固定できるため、複数の商品をまとめて発注しやすいという特徴があります。
定期発注方式のメリットは、需要変動に合わせて発注量を調整しやすいことです。季節商品や高額商品、需要が不安定な商品では、毎回の在庫状況を見ながら発注量を決める方が適している場合があります。また、仕入先との発注タイミングを合わせやすく、複数の商品をまとめて発注できるため、発注業務を一定のスケジュールで進めやすくなります。
一方で、発注量の計算に手間がかかる点は定期発注方式のデメリットです。毎回、現在の在庫量、次回発注日までの需要予測、調達期間、安全在庫などを考慮して発注量を決めなければなりません。
また、発注間隔の途中で需要が急増すると、次回の発注日を待たずに欠品するおそれがあります。そのため、定期発注方式においても安全在庫の設定が欠かせません。
定期発注方式は、需要変動が大きい商品、高額商品、季節商品、複数商品をまとめて仕入れる必要がある場合に向いています。ただし、正確な需要予測と在庫データが必要になるため、Excelやシステムを活用して管理することが望ましいです。
発注点の計算方法
発注点の基本的な計算式は、以下のとおりです。
| 発注点 = (1日の平均出荷量 × 調達期間)+ 安全在庫 |
この計算式では、まず発注してから納品されるまでに必要な在庫量を計算します。そこに、需要変動や納期遅延に備えるための安全在庫を加えたものが発注点になります。
例えば、1日の平均出荷量が20個、調達期間が5日、安全在庫が50個の場合、発注点は以下のとおりです。
| 発注点 = 20個 × 5日 + 50個 = 150個 |
この場合、在庫が150個を下回ったタイミングで発注するのが基本です。150個の在庫があれば、発注してから納品されるまでの5日間に必要な100個分の在庫を確保しつつ、予備として50個の安全在庫を残せます。
発注点を計算する際に重要なのは、平均出荷量や調達期間を正確に把握することです。ただし、平均出荷量でみると同じ数量であっても1日に100個出荷する場合と5日間で合計100個出荷した場合では、一度に必要な数量は異なります。そのため、出荷する時期と数量も同時に考慮しなければなりません。また、出荷量の実績が古かったり、実際のリードタイムより短く見積もっていたりすると、発注点が実態に合わず、欠品や過剰在庫につながります。
また、安全在庫の設定も重要です。安全在庫を低く設定しすぎると、需要増加や納期遅延に対応できません。反対に、高く設定しすぎると在庫を持ちすぎてしまいます。
発注点の計算式はシンプルですが、各数値の設定には実績データと現場の状況を反映させることが大切です。
1日の平均出荷量
1日の平均出荷量とは、一定期間に出荷または使用された数量を、日数で割った数値です。発注点を計算する際には、調達期間中にどれだけ在庫が減るかを把握するために使用します。
例えば、過去30日間で600個出荷された商品であれば、1日の平均出荷量は20個です。この数値に調達期間を掛けることで、発注から納品までに必要な在庫量を算出できます。
平均出荷量を算出する際は、対象期間の選び方が重要です。直近1カ月のデータだけを見ると、一時的なキャンペーンや繁忙期の影響を受ける場合があります。反対に、過去1年の平均だけを見ると、直近の需要変化を反映しにくいケースもあるのです。
需要が安定している商品であれば、過去3カ月や6カ月の平均を使う方法があります。季節変動がある商品では、前年同月の実績や繁忙期の出荷量も参考にすることが大切です。
調達期間
調達期間とは、発注してから商品や部品、資材が入荷するまでにかかる期間のことです。一般的には、リードタイムとも呼ばれます。
調達期間には、仕入先が商品を準備する時間、輸送にかかる時間、自社での検品や入庫処理にかかる時間などが含まれます。発注点を計算する際には、単に仕入先の納期だけでなく、実際に在庫として使える状態になるまでの期間を考慮することが大切です。
調達期間が長いほど、発注点は高くなります。例えば、1日の平均出荷量が20個の商品で、調達期間が3日であれば、納品までに必要な在庫は60個です。しかし、調達期間が7日であれば、必要な在庫は140個になります。
安全在庫
安全在庫は、発注点の計算において欠かせない要素です。需要変動や納期遅延に備えるために確保しておく在庫であり、発注してから納品されるまでの間に予想以上の出荷が発生しても、欠品を防ぐ役割があります。
安全在庫を設定する際は、需要のばらつき、調達期間の変動、欠品をどの程度許容できるかを考慮しましょう。欠品が大きな損失につながる商品や、納期遅延が起こりやすい商品では、安全在庫を多めに設定しておく必要があります。
一方で、安全在庫を多く持ちすぎると、過剰在庫につながります。在庫を保管するスペースが必要になり、棚卸や管理の手間も増え、商品によっては劣化や陳腐化のリスクもあるので注意が必要です。
発注点を最適に管理するためのポイント
発注点は一度設定すれば終わりではありません。需要や仕入先の納期、在庫管理体制は常に変化します。
発注点を最適に管理するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 在庫管理業務をマニュアル化する
- ロケーション管理を最適化する
- 需要予測を実施する
- リードタイムを短縮する
- システムで在庫管理を最適化する
在庫管理業務をマニュアル化する
発注点管理を安定させるには、在庫管理業務をマニュアル化することが重要です。
発注点を設定していても、誰が、いつ、どのように在庫を確認し、どの基準で発注するのかが曖昧なままでは、発注漏れや判断のばらつきが発生しやすくなります。担当者によって発注のタイミングや数量が変わると、欠品や過剰在庫の原因になります。
マニュアルには、品目ごとの発注点、発注量、発注先、確認頻度、発注手順、例外対応などを明記しましょう。例えば、「毎営業日の午前中に在庫数を確認する」「在庫が発注点を下回った場合は当日中に発注する」といった具体的なルールを定めておくと、誰でも同じ基準で対応できます。
また、担当者が不在の場合や新人が対応する場合でも、マニュアルがあれば業務を引き継ぎやすくなります。発注点管理は、担当者の経験に頼るのではなく、組織として再現性のある業務にすることが大切です。
ロケーション管理を最適化する
ロケーション管理とは、倉庫や保管場所のどこに、どの商品や部品が、どれだけ保管されているかを管理することです。発注点管理を正確に行うには、在庫の数量だけでなく、在庫の所在を把握しておく必要があります。
在庫がどこにあるかわからない状態では、実際には在庫があるのに欠品だと判断して発注してしまう可能性があります。反対に、帳簿上は在庫があることになっていても、実際には別の場所に移動していたり、すでに使用されていたりする場合もあるため注意が必要です。
このような状態では、発注点を設定していても正確な在庫管理ができません。保管場所、棚番号、エリア、品目コードなどを整理し、在庫の所在を明確にすることが重要です。
ロケーション管理を最適化すれば、棚卸やピッキングの効率も向上します。倉庫内で商品を探す時間が減り、入出庫作業のミスも抑えやすくなります。
需要予測を実施する
発注点を最適に設定するには、過去の出荷実績だけでなく、将来の需要予測も重要です。
需要が安定している商品であれば、過去の平均出荷量を基に発注点を設定しやすいです。しかし、季節商品やトレンド商品の場合、過去の平均だけでは実際の需要に対応できない可能性があります。
例えば、夏に需要が増える商品であれば、繁忙期前に発注点や安全在庫を引き上げる必要があります。反対に、需要が落ち着く時期には、過剰在庫を防ぐために発注点を下げる工夫も必要です。
また、販促キャンペーン、価格改定、新商品の発売、取引先の増減なども需要に影響します。これらの情報を踏まえずに発注点を設定すると、欠品や過剰在庫が発生しやすくなります。
需要予測を行う際は、過去の出荷データ、販売計画、季節要因、市場トレンドなどを総合的に確認しましょう。在庫管理システムや購買管理システムを活用すれば、過去データを基に需要傾向を把握しやすくなります。
リードタイムを短縮する
リードタイムの短縮も、発注点管理を最適化するうえで重要なポイントです。
発注点は、1日の平均出荷量に調達期間を掛け、安全在庫を加えて計算します。そのため、調達期間が長いほど発注点は高くなり、必要な在庫量も増えます。
例えば、1日の平均出荷量が20個の商品で、リードタイムが10日ある場合、納品までに必要な在庫は200個です。しかし、リードタイムを5日に短縮できれば、必要な在庫は100個になります。安全在庫を同じ数量に設定している場合でも、リードタイムを短縮すれば発注点を下げやすくなるのです。
リードタイムを短縮するには、以下の方法が有効です。
- 仕入先との納期交渉
- 発注頻度の見直し
- 承認フローの簡略化
- 発注作業のシステム化
また、特定の仕入先に依存している場合は、複数の仕入先を確保することで納期遅延リスクを分散できます。
ただし、リードタイムは平均だけでなく、変動幅も確認することが大切です。通常は5日で納品される商品でも、繁忙期には8日かかる場合があるなら、その変動を安全在庫に反映する必要があります。
リードタイムを短縮・安定化できれば、在庫を持ちすぎずに欠品を防ぎやすくなります。
システムで在庫管理を最適化する
発注点管理を効率化するには、在庫管理システムや購買管理システムの活用も有効です。
紙やExcelで在庫を管理している場合、入力漏れや転記ミス、更新遅れが発生しやすくなります。また、複数の担当者が同じファイルを使用していると、最新データがわからなくなったり、古い情報のまま発注を行い、誤発注につながるおそれがあります。
在庫管理システムを導入すれば、在庫数、入出庫履歴、発注状況、納期などを一元管理できるのです。発注点を下回った在庫を自動で検知し、アラートを表示することも可能です。これにより、発注漏れを防ぎやすくなります。
さらに、購買管理システムと連携すれば、発注依頼、承認、発注書作成、仕入先管理などの購買業務も効率化できます。発注点管理だけでなく、発注フロー全体を標準化できるため、業務の属人化を防ぎやすくなるのです。
また、システム上に発注履歴や購買データが蓄積されれば、発注点や安全在庫の見直しにも活用できます。
主な発注点管理の方法

主な発注点管理の方法は、以下のとおりです。
- 発注ノート・かんばん方式
- Excel
- 在庫管理システム
どの方法が適しているかは、取り扱う在庫数や事業規模、管理体制によって異なります。
発注ノート・かんばん方式
発注ノートとは、品目ごとの在庫数、発注点、発注量、発注先、発注日などを紙やノートで記録して管理する方法です。
一方、かんばん方式は「かんばん」と呼ばれるカードや札を現物(在庫)に取り付け、「消費した分だけ、必要なときに必要な量だけ補充する」というタイミングを視覚的に管理する方法です。
紙やカードを使うため、システム導入のコストがかからず、ITツールに不慣れな現場でも運用しやすいのが特徴です。
発注ノートやかんばん方式のメリットは、現場担当者が直感的に理解しやすいことです。例えば、在庫棚にカードを設置し、一定数量まで在庫が減ったらカードを回収して発注する、などの運用ができます。視覚的に発注タイミングを把握できるため、現場での運用に向いています。
しかし、紙やカードで管理するため、記入漏れやカードの抜き忘れ、紛失のリスクがある点がデメリットです。また、在庫品目が増えると管理が煩雑になり、発注点の見直しやデータ分析が難しくなります。
Excel
Excelは、発注点管理で広く使われている方法の一つです。在庫数、発注点、発注量、発注先、納期などを表で管理し、関数や条件付き書式を使って発注点を下回った在庫を可視化できます。
Excelのメリットは、導入コストが低く、自社の業務に合わせて自由にカスタマイズできることです。例えば、現在の在庫数が発注点を下回った場合にセルの色を変える設定をしておけば、発注が必要な品目を見つけやすくなります。フィルターや並べ替え機能を使えば、発注対象の商品だけを抽出することも可能です。
しかし、Excel管理は、手入力が中心になるため、入力漏れや転記ミスが発生しやすい点がデメリットです。また、複数人で同じファイルを管理する場合、誰がいつ更新したのかわからなくなったり、古いファイルを参照してしまったりするリスクがあります。
在庫管理・自動発注システム
在庫管理システムや自動発注システムを活用すれば、発注点管理をより正確かつ効率的に行えます。
在庫管理システムでは、在庫数、入出庫履歴、発注状況、納期、仕入先情報などを一元管理できます。発注点を下回った在庫を自動で検知し、担当者にアラートを出すことも可能です。
自動発注システムを活用すれば、発注点を下回ったタイミングで自動的に発注処理を行えます。定量発注方式との相性が良く、消耗品や定番商品の管理に適しています。
システムを導入するメリットは、在庫データをリアルタイムに把握しやすいことです。複数の担当者や拠点で在庫を管理している場合でも、同じデータを基に判断できるため、情報共有がスムーズになります。
また、発注履歴や購買データを蓄積できるため、発注点や安全在庫の見直しにも活用できます。過去の出荷量、調達期間、欠品発生状況などを分析すれば、より精度の高い在庫管理が可能です。
発注点を設定する際の注意点
発注点は計算式だけで機械的に決めれば良いものではありません。実際の在庫管理では、以下の点に注意して、発注点を設定しましょう。
- リードタイムを考慮する
- 季節変動やトレンドを考慮する
- 発注点は定期的に見直す
リードタイムを考慮する
発注点を設定する際は、リードタイムを考慮しましょう。リードタイムとは、発注してから納品されるまでの期間です。リードタイムが長いほど、発注から納品までに必要な在庫量が増えるため、発注点も高くなります。
リードタイムを短く見積もりすぎると、発注後に在庫が不足して欠品が発生するおそれがあります。特に、海外調達や繁忙期の仕入れでは、物流の乱れや仕入先の生産状況によって納期が変動しやすいため注意が必要です。
また、平均リードタイムだけでなく、最大リードタイムも確認することが大切です。通常は5日で納品される商品でも、遅いときに8日かかるのであれば、そのリスクを考慮して発注点や安全在庫を設定する必要があります。
リードタイムが不安定な商品では、安全在庫を厚めに設定することも検討しましょう。仕入先ごとの納期実績を記録しておけば、より実態に合った発注点を設定しやすくなります。
季節変動やトレンドを考慮する
季節変動やトレンドの影響を受ける商品では、過去の平均出荷量だけで発注点を設定すると、実態に合わない場合があります。
例えば、夏に需要が高まる商品や、年末年始に出荷量が増える商品では、通常時の平均出荷量を基に発注点を設定すると、繁忙期に欠品する可能性があります。反対に、繁忙期の出荷量を基準にしたまま閑散期を迎えると、過剰在庫を抱えるおそれがあるので注意しましょう。
また、SNSでの話題化やメディア露出、キャンペーン、価格改定などによって、一時的に需要が急増することもあります。こうした市場トレンドの変化を考慮せずに発注点を設定すると、在庫管理の精度低下につながります。
季節変動がある商品では、月ごとやシーズンごとに発注点を変えることも有効です。前年同月の販売実績や直近の需要傾向を確認し、必要に応じて安全在庫も調整しましょう。
発注点は定期的に見直す
発注点は一度設定して終わりではありません。販売量や出荷量、調達期間、仕入先の状況、物流環境、商品ライフサイクルなどは常に変化します。
例えば、以前は安定して売れていた商品でも、需要が減少すれば発注点を下げる必要があります。反対に、販売チャネルの拡大や新規取引先の増加によって出荷量が増えた場合は、発注点を引き上げなければ欠品リスクが高まるので要注意です。
発注点の見直しは、月次、四半期、半期などのタイミングで定期的に行いましょう。特に、欠品が発生した商品や過剰在庫が続いている商品は、優先的に見直す必要があります。
購買管理システムを導入して最適な発注点管理をしよう
発注点管理を正確に行うには、在庫データや購買データ、発注履歴、仕入先情報の一元管理が不可欠です。取扱品目が少ない段階であれば発注ノートやExcelでも運用可能ですが、品目数の増加や担当者の複数化に伴い、手作業での管理には限界が生じます。
購買管理はあくまでも購買に特化したもので、在庫まで細かく管理できるシステムは少ないです。(オプション等での対応または別で在庫システムを導入)
しかし、在庫管理を見直すうえで購買管理側で持っている発注記録や仕入先情報が役に立ちます。
購買システムで購買側のデータを整え、在庫管理システムと連携するとスムーズに業務を進められることが期待できます。
また、購買管理システムを活用することで、発注業務の標準化にもつながります。誰が担当しても同じルールで発注できるため、属人化を防ぎやすくなるのです。発注履歴や購買データを蓄積すれば、発注点や安全在庫の見直しにも役立ちます。
さらに、在庫管理システムや基幹システムと連携できれば、入出庫情報や購買データをより正確に反映できます。これにより、発注点管理の精度を高め、欠品や過剰在庫のリスクを抑えやすくなるのです。
発注点管理は、欠品を防ぐためだけでなく、在庫コストの削減や購買業務の効率化にもつながる重要な取り組みです。紙やExcelでの管理に限界を感じている場合は、購買管理システムの導入や乗り換えを検討してみましょう。
購買管理システムの導入・乗り換えを検討している方は、以下の資料も参考にしてください。










